現金化業者のイメージ
2020年7月、給料ファクタリング業者が摘発され、実質ヤミ金であると連日報道される様になりました。

その結果、それまで給料ファクタリングとして活動していた業者が、「後払い現金化業者」として営業を再開しています。

今回は、「後払い(ツケ払い)現金化業者」の違法性について弁護士の先生にお話しを伺いながら記事をまとめています。

■この記事は弁護士への取材をもとに作成されています

八坂 玄功(やさか もとのり)弁護士

東京弁護士会所属中野区しいの木法律事務所に勤務

後払い現金化業者とは?

後払い現金化業者の手口

後払い現金化業者とは「金融ブラックOK」「誰にも知られずに利用可能」など甘い言葉でお金に困った者をターゲットにしています。

業者は金券や商品を後払いで販売し、利用者には期日までに利息を付けて支払わせます。それまでの間、利用者はその商品を転売することで現金を得るのです。

たとえば、利用者は1万円の金券を後払いで受け取り、一週間後に30%の手数料を加えた13,000円を業者に後払いで支払うといった流れになっています。

給与ファクタリングがメディアに取り上げられ違法性が指摘されたり、実際に摘発される様になったことから、以前給与ファクタリングを行っていた業者が「後払い現金化業者」として新たに活動を再開しています。

「A」という業者の場合

1.業者は金券を1万円分、顧客へ渡す
2.顧客は手数料を30%として、指定の日に13000円にして返済する

「B」という業者の場合

1.顧客は売りたい商品を写真にとって業者に送る
2.買い取り代金として1.8万円が振り込まれる
3.顧客は後日キャンセル料30%を上乗せして2.34万円を振り込む

「C」という業者の場合

1.顧客は、業者から20000円のAmazonギフト券を後払いで購入
2.顧客は、提携買い取り業者agomに70%で買い取ってもらう14000円(自分で使ったり売ったりすることは出来ない)
3.支払いは「C」へ30000円の支払い

「D」という業者の場合

1.顧客は、業者から35000円のFX自動売買ツールを後払いで購入する
2.顧客は17000円の報酬を現金で得る
3.後日、35000円を後払いする

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【弁護士へ取材】後払い現金化業者の違法性について

質問者

これらの後払い現金化業者の手口は違法なのでしょうか?

弁護士の回答

「貸金業法での貸金業の定義は、下記のとおり、「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む」とされています。

(定義)
第二条 この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。

後払い現金化についても、「これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介」に含まれる可能性があり、貸金業法の規制を受ける可能性があるものと判断しています。

したがって、無登録営業、違法高金利等について、貸金業法、利息制限法等に違反すると判断される場合があるものと考えています。(八坂玄功弁護士の見解)

返済義務はあるのか?

質問者

「後払い現金化業者」から受け取った金券や商品は、ヤミ金でいうところの「元金」というニュアンスですよね。
こちらは返済義務はあるのでしょうか?

弁護士の回答

ヤミ金業者に対しては、元金部分についても返済義務がないとする最高裁の判例があります(最高裁第三小法廷平成20年6月10日判決 判示事項要旨

「いわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著しく高利の貸付けの形をとって借主に金員を交付し,借主が貸付金に相当する利益を得た場合に,借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例」)
「後払い現金化業者」についても、その実態が貸金業法や利息制限法に違反する無登録営業、高金利のヤミ金と実質的に異なるところがないと判断される場合には、上記最高裁の判断と同じく、「元金」にあたる買取代金の返済義務もないと判断される可能性があります。(八坂玄功弁護士の見解)

後払い現金化業者が「訴訟」を脅しに使っている

質問者

後払い業者に支払いが遅れるなどすると、「裁判沙汰にする」とのハガキが来る様です。

実際に訴えられる可能性はありますか?

弁護士の回答

「後払い現金化業者」の行っていることは、貸金業法や利息制限法に違反する違法なヤミ金と実質的に異なるところはないと考えられる場合が多いことから、弁護士等に依頼して適切な対応を行えば、裁判に訴えられる可能性はかなり低いものとなると考えられます。(八坂玄功弁護士の見解)

後払い現金化業者と関わるリスクについて

質問者

申し込み時にご自身や家族の個人情報、会社の連絡先などを控えられるため、

指定の日に支払いができないと会社へ連絡をされることで「借金がバレる」ということが利用者にとってのデメリットとなっている様です。

他に何か、利用者のデメリットは考えられますか?

弁護士の回答

家族や勤務先への連絡などは、「後払い現金化業者」が嫌がらせを行えば回収ができると考えて行うものと思われます。
「後払い現金化業者」は、自らの業態が貸金業法や利息制限法に違反する可能性が高いことを十分に認識していると考えられますので、弁護士等に依頼して毅然と対応している方に対してあえて嫌がらせを行うことにより、自らの業態の違法性について正面から問題とされる契機となることは恐れるものと考えられます。

ですから、弁護士等に依頼して毅然と対応することが必要であり、「後払い現金化業者」にはそれ以上の嫌がらせ等はできないものと考えられます。(八坂玄功弁護士の見解)

被害対策~後払い現金化業者と関わってしまったら~

質問者

後払い現金化業者と関わってしまった場合、被害者はどう対処すべきでしょうか?

弁護士の回答

ヤミ金業者の対応等に熟練している弁護士・司法書士等に速やかに相談されるようお勧めします。

「後払い現金化業者」は貸金業法や利息制限法に違反して違法である可能性の高い業態であり、そのことは彼ら自身も自覚しているものと思われます。
したがって、弁護士・司法書士等に依頼して毅然として対応すれば、嫌がらせ等も防ぐことができる可能性は高いです。
「後払い現金化業者」を恐れずに、弁護士・司法書士等に依頼して解決を図ることをお勧めします。(八坂玄功弁護士の見解)

この記事の執筆者
闇金弁護士110番 編集部
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