- 給料ファクタリングは闇金で返済は不要
- 放置していると勤務先へ督促が行われる
- この業者は法律家が介入すると回収を諦めます
東京弁護士会所属中野すずらん法律事務所勤務
大阪司法書士会所属。20,000件を超える闇金事件の解決の実績を持ち、給与ファクタリング被害の相談が日本全国から寄せられている。違法な金融業者の対応を専門業務として扱う。
給与ファクタリング業者に手を出してしまい被害に遭ってしまう方が増えています。
結論から言うと給与ファクタリングは違法な金融業者であり元本さえも返済不要となる場合が多いです。
しかし、支払いが滞ると、本人だけでなく会社や親族へと督促の電話が向かうため、被害者は督促を恐れて違法だと知りながらも利息を支払い続けてしまいます。
この記事では、給与ファクタリングは違法な金融業者である可能性が高く、安易に利用しない様にという警告と、もし関わってしまった場合の法律家による解決方法について解説しています。
もくじ
給与ファクタリングは違法な金融業者!
給与ファクタリングは違法なのでしょうか?
違法と考えることが一般的となっています。
令和2年3月24日、東京地裁でも違法であるという司法判断がなされました。
給与債権の譲渡自体が禁止されているわけではありませんが、
給与ファクタリングが違法金利によるお金の貸し付けと考えられる場合、その業者が貸金業登録をしていなければ貸金業法違反となります。
また法定利息を優に超える利率での貸し付けとなりますから、出資法、利息制限法違反にもなります。
分かりやすく!給与ファクタリングって何?何が問題?
給与ファクタリングとは、分かりやすく言うと「給与の前借りサービス」の様なものです。
翌月の給料を給料日前に振り込んでもらう代わりに、給料の20~30%程度を手数料として支払う契約になっています。
給与ファクタリングの借り入れから返済までの流れ
- 免許証や保険証、給与明細による審査
- 給与から天引きされた金額が本人の口座に振り込まれる
- 契約した給与金額を後から支払う
「給与の前借りが出来る」という点で、一見とても便利なものの様に感じられますが、以下の様なデメリットがあります。
- 金利がとても高い
- 支払いが滞ると会社や親族へ督促が行われる(借金がバレる)
- 給与ファクタリングを装う闇金と関係を持ってしまった場合、酷い嫌がらせを受ける恐れがある
このあと詳しく説明していますが、天引きされる手数料が年利に換算すると利息制限法に違反しており高額であることや、支払いが滞ることによる本人や関係各所への督促行為による影響が、本人にとってのデメリットとなります。
こちらは給与ファクタリングの無料相談を全国対応で受け付けている司法書士事務所です。
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金利は数千パーセント!貸付けはネット・SNSで行われている
給与ファクタリングの貸付はどの様に行われているのでしょうか?
元本に対する実質的な利息はどれくらいになるのでしょうか?
業者により、天引き額は様々で、給料に対して10%~30%で行われています。
年利に換算すると数千%を超えことも珍しくありません。
例えば15万円の給料を債権とした場合は、本人口座には4万5千円が天引きされた10万5千円が振り込まれます。
そして、返済時には15万円全額を支払わなければなりません。
給与ファクタリングの金利計算の事例
- 譲渡する給料15万円
- 受け取る金額10万5千円
- 天引き金額 4万5千円
- 翌月の給料までの日数20日
45,000円 ÷ 20日 =1日あたり2,250円
2,250円 × 365日 =1年あたり82万1,250円
実際に受け取った金額10万5千円が元本と考えると、
82万1,250円 ÷ 10万5千円 × 100 =年利約782% となります。
出資法、利息制限法の上限は20%とされており、この場合の貸付に対しては「10年以下の懲役、もしくは3000万円以下の罰金」という出資法の罰則の対象になります。
貸付額や、給料日までの日数によっては、金利が数千パーセントに及ぶこともあります。
最近、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで給与ファクタリング業者が逮捕されたという報道がされるようになりました(共同通信 2020年9月9日配信「『給与ファクタリング』業者逮捕 超高金利融資疑い、大阪府警」)。
給与ファクタリングの借金は元金も返済不要
違法ということは、給与ファクタリングの借金は闇金と同じく返済義務は無い。
つまり返さなくても良いということですか?
元本も返済は不要です。
しかし、返済をしないと督促行為を受けてしまうため、関係を持ってしまった場合は速やかに弁護士や司法書士に相談してください。
給与ファクタリングは闇金業者による貸付行為と同じく、社会の倫理・道徳に反する醜悪な行為、すなわち不法原因給付(ふほうげんいんきゅうふ、民法708条)であり、元本分を取り戻すという利益でさえ認めるべきではなく、返済義務はありません。
参考記事:闇金の借金は返さなくて良い!返済不要の根拠と抜け出す方法
しかし、このことを知って、最初から返すつもりが無いのに給与ファクタリング業者からお金を借りてしまうと詐欺に問われる場合があります。安易に借りてしまわない様にお気をつけ下さい。
取り立て(督促)は本人、勤務先、親族へ行われる
給与ファクタリングによる取り立て(督促)はどの様に行われているのでしょうか?
主に、本人、勤務先、親族へ電話による督促が行われることになります。
本人としては勤務先などに「借金を知られたくない」という気持ちがあるので、この督促を恐れていつまでも払い続けてしまいます。
闇金業者の場合は回線がパンクするまで電話をかけ続ける鬼電(おにでん)、ピザの出前を数十枚送り付けるという嫌がらせを行いますが、
給与ファクタリング業者も、闇金と同じ様な嫌がらせを行うことはあるのでしょうか?
給与ファクタリング業者は闇金ほど嫌がらせ行為をすることはありませんが、本人や勤務先への電話督促は行ってきます。
ただ、中には給与ファクタリングと称している闇金業者がいるので、そういった業者と関係を持ってしまうと鬼電や出前注文などの嫌がらせ行為を受けるリスクがあります。
取り立てによるデメリット
- 給与ファクタリング業者の場合・・・勤務先や親族への連絡から借金がバレる
- 給与ファクタリングを装う闇金の場合・・・鬼電や出前注文などの嫌がらせのリスク
関わっているのが給与ファクタリング業者であれば、取り立てによるデメリットは関係各所への取り立てによって、借金をしていることが知られてしまうことにあると言えます。
しかし、給与ファクタリングを装った闇金業者の場合はより激しい嫌がらせを受ける危険性があります。
参考記事:闇金の取り立て手口について
給与ファクタリング業者、法律家の解決方法
法律家が介入した場合、給与ファクタリング業者はどれくらいの期間で手を引きますか?
当事務所の場合ですが、8割方の業者が当日のうちに手を引いています。
残りの業者も2.3日で手を引くことが多いです。
ただし、中には契約の有効性を主張して、訴訟提起を行う業者は少数存在します。
何故、法律家が介入すると給与ファクタリング業者は手を引くのでしょうか?
給与ファクタリング業者自身も正当な契約だとは考えていない節があります。
法律職が介入して法的違法性を主張することで、争うことは面倒、あるいは法的手続きをとることは事実上困難であると判断して手を引いていると思われます。
法律家が介入して解決したあと、給与ファクタリング業者による被害が再発することはありますか?
勧誘電話やメールはあるでしょうが、本人が利用しない意思をお持ちなのであれば、再発はありません。
ただ、給与ファクタリングと称している闇金業者の場合には、押し貸し(勝手にお金を振り込む)をして取引の継続を試みようとすることが起こり得ます。
問題の解決後、業者に知られてしまった「銀行口座」を解約しておくことで押し貸しによる被害を避けることが出来ます。
まとめ
- 給与ファクタリングは違法で金利が割高
- 支払わないと勤務先や関係役所へ督促が向かう
- 給与ファクタリングの借金は元本も返済不要
- 法律家が介入すると関係を断つことができる
給料が減り生活が苦しくなると、ついつい給与ファクタリングを使いたくもなってしまうかも知れません。
しかし、給与ファクタリングを使ってしまうと給料日に給料の30%を取り上げられてしまうことになり、生活がまた苦しくなってしまいます。
給与ファクタリングは割高であり、その後は勤務先への連絡を人質に支払いを強要されてしまいます。
既に関わってしまった方は、これ以上給与ファクタリングには支払わずに法律家へ相談してください。
大阪司法書士会所属。20,000件を超える闇金解決の実績を持ち、給与ファクタリング被害の相談が日本全国から寄せられている。違法な金融業者の対応を専門業務として扱う。
闇金弁護士110番、運営会社の編集部がこの記事をまとめています。弁護士の先生や、司法書士の先生への取材を行った上で読者の方に役立つ、事実に基づいた情報の発信を心掛けます。