闇金の押し貸し

(この記事は3分で読めます)
■この記事は弁護士の監修を受けています

久保木 亮介 弁護士

東京弁護士会所属中野すずらん法律事務所勤務

■この記事の取材に協力して頂いた専門家

正野嘉人弁護士

東京弁護士会所属。30年以上の闇金対策の実績を持ち、闇金だけではなくネット上の詐欺や、オレオレ詐欺の対策なども得意分野としている。

見知らぬ振込みがあったら闇金による押し貸しの可能性がある

過去に闇金を利用したことがあり(または、利用しかけてやめたけれども、口座番号や携帯番号などの個人情報は教えたことがあり)、闇金に知られた銀行口座を今でも使っているような場合で、その口座に身に覚えのない振込みがあった場合、その金額が数千円から数万円程度であっても、「押し貸し」の可能性があります。
客観的に返済できない経済状況にあることを知りながら貸し付けることを「過剰与信」といい、貸金業法はこれを禁じています。「押し貸し」は借りることを希望していないのに一方的にお金を口座に振込み、あとでその「返還」を求めるという、究極の「過剰与信」です。
その場合の対処方法をまとめてみます。

1.押し貸しの疑いのあるお金を勝手に引き出したり使ってはならない

第1に、押し貸しの疑いのあるお金を勝手に引き出したり使用したりしてはいけません。「押し貸し」目的で振り込まれたお金は、法律的には「不当利得」といい元金を返還する必要があります。

2.闇金に対する対応について

第2に、「押し貸し」の後には、必ず闇金から法外な利息の支払いを求める連絡がある筈です(そうでなければ「押し貸し」の意味がありません)。しかし、決して利息の支払いをしてはいけません。「身に覚えのない振込だから利息は支払いません。元金だけを返還するのであなたの氏名・連絡先・所在地を教えて下さい。」と毅然と要求すべきです(自分では怖くてできない場合は、弁護士に相談しましょう)。

3.押し貸しで受け取ったお金は法務局へ供託

第3に、上記の要求に対して闇金が連絡先や所在地を教えることは決してありません。元金の返還を受けても何のうまみもないばかりか、連絡先等が知られれば捜査の対象とされる恐れがあることを、彼らは良く知っています。
そこで、闇金が回答を拒否したら、最寄りの法務局に供託をしましょう。供託をしておけば、不当利得の返還の義務を怠った、とあとで追及されることはありません。

闇金が連絡先等を教えないのですから返還の仕様がないので、供託できる要件が満たされます。
法務省のホームページでは、「押し貸し」の場合の供託の書式が紹介されていますので、ご参照下さい(「供託書等の記載例」、「第1 弁済供託」、「2 その他の弁済供託」の「(13) 受領不能(いわゆる「押し貸し」の場合)。⇒法務省ホームページ供託書等の記載例

4.受け取った口座は解約すること

第4に、押し貸しに利用された口座はすぐに解約することです。闇金は捜査機関や弁護士の追及が及ばぬよう、他人の口座を闇金の取引に利用します。闇金の協力者(最悪の場合共犯)として捜査の対象になりかねません。

5.押し貸しの督促を受けた携帯電話について

第5に、「押し貸し」後に利息の支払いの催促がかかってきた携帯電話については、契約を解約するか少なくとも番号は変えるべきです。

たった数千円から数万円の「押し貸し」に対応するために、これだけの労力が必要となります。教訓は、「闇金とは一切かかわるな」ということに尽きます。破産手続きや生活保護制度などを利用して、つつましくとも借金の無い闇金への誘惑の無い生活を実現しましょう。

(1~5まで久保木 弁護士の見解)

正野弁護士の回答

質問者

闇金の押し貸し(おしかし)はまだ行われていますか?このお金は返さなくても良いのでしょうか?

正野弁護士正野嘉人弁護士

現在も押し貸しの被害相談は多いです。

法律上、この押し貸しされたお金はお返しする必要はありませんが、闇金が赤字のままで終わらせてくれる可能性は極めて低いです。

少しでも穏便に済ませたいと言うお気持ちなら弁護士を通してその額を返却すると言った交渉を致します。穏便に手を引いてくれる可能性は高くなります。

まとめ

闇金を使ったことがあり見知らぬ振込みがあれば「押し貸し」の可能性があります。

闇金に緊急連絡先として勤務先などの連絡先を教えてしまっており、少しでも穏便に解決をされたいという場合は、闇金対応に強い弁護士など、法律家への相談も合わせてご検討ください。

この記事の執筆者
闇金弁護士110番 編集部
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