闇金へ口座売買してはならない

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この記事のまとめ
  • 闇金へ口座を譲渡するのは犯罪
  • 譲渡するとその名義人の銀行口座は全て凍結(取引停止)される
  • 更に日本全国で口座の開設も出来なくなる
  • 口座の凍結を解除することはほぼ不可能

闇金業者は、支払いに苦しんでいる顧客に「利息の期限を伸ばす」「利息をチャラにしてやる」などと言い、代わりに口座を譲渡するよう要求してくることがあります。

しかし、口座の譲渡や売買は犯罪です。応じてしまうと想像以上にデメリットが大きいので応じてしまわない様にしてください。

■この記事の取材に協力して頂いた専門家

正野嘉人弁護士

東京弁護士会所属。30年以上の闇金対策の実績を持ち、闇金だけではなくネット上の詐欺や、オレオレ詐欺の対策なども得意分野としている。

奥野正智司法書士

大阪司法書士会所属。20,000件を超える闇金解決の実績があり、NHKの番組『ねらわれる若者たち追跡”SNSヤミ金”』にて取材を受けている。

■この記事は弁護士の監修を受けています

弁護士 久保木 亮介

東京弁護士会所属中野すずらん法律事務所勤務

口座を第三者に譲渡することは犯罪です。

質問者

闇金業者に口座を売るように指示されました。渡してしまうとどうなるのでしょうか?

正野弁護士正野嘉人弁護士

口座の譲渡、売買は立派な犯罪です。

既に何人かの方が銀行に対する詐欺罪として逮捕されております。

尚、渡した口座は全国の闇金被害者からの返済口座に使われるので、遅かれ早かれ警察、または銀行によって凍結されてしまうのです。

凍結されると凍結解除してくれないだけでなく、その他の口座も全て凍結される可能性があります。

また、どこの銀行に行っても新規口座開設が出来なくなってしまうので、実生活に大きな支障をもたらします。

奥野弁護士奥野正智司法書士

犯罪に使用されます。

使用される事が容易に想像ができ、売った本人を罰する法律もあるので口座を売却するのは絶対にやめてください。

新規で契約した口座の譲渡
自分が使う訳でもないのに口座を新規で開き、その口座を闇金に譲渡してしまったとすれば、それは利用目的を偽って口座を開設する事になり、銀行に対する詐欺罪に該当します。
元々持っている口座の譲渡
新たに作った銀行口座を闇金に譲渡するだけではなく、元々持っている個人口座を闇金に譲渡したとしても犯罪に該当してしまいます。口車に乗せられて渡してしまうと犯罪による収益の移転防止に関する法律違反の罪に問われる危険性があります。
バイト感覚で口座を売買する行為
口座を売買する行為も当然ながら罪になるので注意が必要です。闇金業者は口座を譲渡すればその代わりに報酬を支払うと話しを持ちかけてくる事もありますので応じない様にご注意下さい。

闇金に口座を渡すと逮捕されることがある

  • 口座の譲渡自体が犯罪なので取り調べの対象になる
  • 闇金業者の共犯として疑われ、取り調べを受ける

闇金業者に口座を渡すこと自体が犯罪に該当するため、事実が発覚すると取り調べを受け、実際に逮捕者も出ています。

また、闇金業者に渡した口座の使い道は犯罪です。犯罪の内容としては利息の振込口座として指定したり、詐欺を行っているグループであればその被害金の受取先になっていたり、関わりのある闇金業者が行っている犯罪に利用されてしまいます。
自分の名義の口座が犯罪に利用されて何が怖いかと言えば、警察が捜査に乗り出した時に共犯者であると疑われてしまう事です。
利息の受け取り口座がとある顧客の名義になっていれば、外観上はその顧客が利息を受け取って利益を得ているように見えてしまいます。そのため警察もこの顧客が闇金と何らかのつながりを持っていて犯罪に加担していると考えざるを得ず、結果として警察から事情を聞かれるような事態を招きかねないのです。

闇金に口座を譲渡すると、自分名義の口座が全て凍結(取引停止)される。

  1. 闇金が受け取った口座を犯罪利用する
  2. 警察の要請で口座が凍結される
  3. 全国の銀行に名簿が共有され、日本全国で口座が作れなくなる

闇金に口座譲渡をする事によっておこる被害はもう一つあります。それが自分名義の口座が全て凍結されてしまい、日本全国で開設も出来なくなる事です。

闇金の被害金振込など何らかの犯罪に使われている口座の場合、警察が手続きを経て凍結処理を行うことがあります。

2007(平成19)年に成立した振り込め詐欺被害救済法により、預金口座への振込みを利用して行われた詐欺、その他、人の財産を害する犯罪行為(闇金もこれに含まれます)については、被害者から警察等への申入れにより、利用された口座を凍結(取引停止)できることになりました。

これは被害の拡大を防ぐための仕組みなのですが、闇金に口座を譲渡あるいは口座を知られてしまった別の被害者が、闇金と同視されて口座を凍結されてしまう、という新たな問題が生まれました。

凍結された口座と同じ名義人の口座は、日本全国の金融機関にて全て凍結されてしまいます。さらにそれ以降、日本全国の金融機関において口座を開設する事ができなくなってしまいます。銀行間で共有されるブラックリストに載ってしまうため、新たに口座を開設しようとしても拒否されてしまうのです。

口座凍結の解除は困難

質問者

闇金と関わって口座が凍結された場合、解除方法はありますか?

正野弁護士正野嘉人弁護士

警察からの凍結要請であれば、まずは警察に凍結解除をして貰う、その後は各銀行が凍結を解除をするかの判断を致します。ただし、一度凍結を受けた口座を銀行側は解除してくれない可能性が極めて高いと言えます。

奥野弁護士奥野正智司法書士

警察、金融機関、口座凍結要請を行った法律職などに説明を尽くすしかありません。
ただ、警察庁が作成しているといわれる「凍結口座名義人リスト」に登録されると生活口座でも凍結され、その解除は非常に難しいのが現状です。

口座の凍結が一度なされてしまうと解除する事は専門知識を持った弁護士でも困難です。

現在、全国銀行協会の厳しすぎる凍結の基準に対して議論がされていますが、口座凍結の解除はほぼ不可能である状況が続いています。

闇金から口座を要求されたら。嫌がらせを受けない断り方

  • 口座は絶対に渡してはいけない
  • 闇金に強い弁護士に依頼して嫌がらせを受けずに離れる(費用は5万円ほど)

闇金から口座譲渡を要求されても絶対に従ってはいけません。警察から逮捕されるリスクもある他、口座の凍結によって実生活を送ることが難しくなってしまいます。

しかし、自分の個人情報を知られている場合には、闇金の要求を断ることで嫌がらせを受けてしまう可能性もあります。

嫌がらせを受けずに離れる為に、闇金に強い弁護士に依頼する

闇金業者の引き際

闇金に強い弁護士や司法書士が介入すると、闇金業者はデメリットが多いことから、その顧客を諦めます。

もし、闇金業者に口座の譲渡や売買を強要された場合には、専門知識を持った法律家へとご相談ください。

まとめ

  • 闇金業者に銀行口座を渡してはいけない
  • 口座の売買や譲渡は犯罪で逮捕された事例もある
  • 譲渡を要求された場合は闇金に強い弁護士に依頼する

闇金業者との付き合いをいつまでも続けていると、この様な軽犯罪に徐々に巻き込まれ、更に「口座を売ったことをバラされたくなかったら…」と闇金業者の言いなりになってしまう顧客も珍しくなく、銀行員が闇金に脅されて金庫の鍵まで渡してしまい、逮捕されてしまう事件も発生しています。

もし、闇金業者に口座を渡したり知られてしまったら

くれぐれも、闇金業者に銀行口座を渡してしまわない様にしてください。もし闇金業者に口座を渡してしまった、あるいは知られてしまった場合には、すぐに金融機関に連絡して口座を解約するようにしましょう。

口座を提供してしまったことによる逮捕が心配であれば、弁護士等に相談して、あらかじめ捜査機関に申告するのも一つのやり方です。

正直に申告して被害の拡大防止に協力すれば、捜査機関も逮捕はしないでしょう。

もともと、その人自身も闇金の被害者なのですから。

この記事の執筆者
闇金弁護士110番 編集部
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