闇金にスマホを渡してはならない

(この記事は3分で読めます)

闇金業者が携帯電話(スマートフォン)タブレットなどを契約させて指定の住所まで郵送する様に指示してくることがあります。

しかし、闇金業者に携帯電話(スマホ)を契約して送付することで罪に問われ逮捕されることもあります。

この記事では以下の内容について知ることが出来ます。

この記事で学べること
  • 闇金業者へ携帯電話・スマホを渡すと罪に問われ逮捕される恐れがある
  • 闇金業者に対する断り方
  • 闇金に携帯電話を渡してしまい逮捕されない為にできること
■この記事は弁護士の監修を受けています

弁護士 久保木 亮介

東京弁護士会所属中野すずらん法律事務所勤務

■この記事の取材に協力して頂いた専門家

正野嘉人弁護士

東京弁護士会所属。30年以上の闇金対策の実績を持ち、闇金だけではなくネット上の詐欺や、オレオレ詐欺の対策なども得意分野としている。

奥野正智司法書士

大阪司法書士会所属。20,000件を超える闇金解決の実績があり、NHKの番組『ねらわれる若者たち追跡”SNSヤミ金”』にて取材を受けている。

闇金は顧客からスマホを集めているが渡すと犯罪になる

質問者

闇金業者にiPhoneやiPadを郵送する様に指示されました。送っても大丈夫なのでしょうか?

正野弁護士正野嘉人弁護士

SIMカードを入れたまま郵送すれば、そのSIMカードで全国の被害者連絡用に使われてしまう可能性が高いです。

また、遅かれ早かれ警察に強制停止させられ、闇金の一味と思われ、捜査の対象になりかねません。

このSIMカードも口座と同様、他人への譲渡、売買は契約上、禁止されておりますので携帯会社に対する詐欺罪と考えれられます。

また、端末は携帯買取業者に売られ、売買代金は闇金の利益に変わります。闇金からは「直ぐに返す」「解約料はこちらで払う」などの約束は一切守ってくれませんので渡してしまいますと大変な事になります。

奥野弁護士奥野正智司法書士

個人情報漏洩等の危険性がありますし、ご自身が罰せられる可能性もあるので、当然送らない方が良いでしょう。

契約したまま送るとそのまま犯罪に使用されることがあるのでご注意ください。

闇金にスマホや電話を新規で契約して渡すと犯罪になる

警察から取り調べを受ける闇金被害者

闇金にスマートフォンや携帯電話を渡してしまった場合、販売店に対する詐欺罪に問われることがあります。

さらに(何度も継続して提供したような場合には)携帯電話不正利用防止法違反に問われ、捜査の対象となる可能性があります。

捜査機関からすれば、あなたが闇金の積極的な協力者(共犯)なのか、単に法律を良く知らずに利用されているだけなのか、区別がつかないからです。

SIMカードを抜いて白ロムだけ渡すのも犯罪です

たとえ端末を買った後、SIMカードを抜いて白ロムを譲渡するだけであったとしても、犯罪にあたる可能性があります。

そもそも、はじめから自分で使うつもりはないのに販売店ではそのことを隠して契約すること自体が刑法の詐欺罪にあたりかねません。

本当の意図を知れば、販売店が契約をすることも、携帯電話という財物を提供することもないのですから。

「刑法第246条第1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」

 警視庁のホームページでは、 以下の様に述べています。

「実際に使用するつもりも、購入代金・利用料金を支払う意思もないのに、携帯電話等を契約し、販売店からだまし取った携帯電話等をアルバイト斡旋業者なる者に渡してアルバイト料をもらうという人がいるようです。しかし、このような携帯電話等を販売店からだまし取る行為は犯罪です」

闇金がスマホ(携帯電話)だけ受け取って連絡が途絶えることも多い

闇金業者がスマホやタブレットを契約して渡したら、幾らかのお金を渡すと約束していることもあります。

しかし、スマホやタブレットを送付させたのちに、約束を守らずに連絡が途絶えてしまうことも珍しくありません。

闇金に携帯電話を渡すと逮捕される可能性がある

捜査の対象となり得る場合に、一番の懸念は、逮捕されることです。

通常は、いきなり逮捕ということはなく、まずは任意に警察署に出頭を求められ、取調べを受けることになります。しかし、捜査機関が、あなたが犯罪の証拠を隠したり逃げたりする可能性があると判断した場合、あなたを逮捕する可能性がゼロとは言えないのです。

既に渡してしまい逮捕を避けるには

他方で、バイト感覚で安易にスマホや携帯を闇金(と思われる者)に提供してしまったことを、あらかじめ正直に申告すれば、捜査機関があなたを逮捕する可能性は極めて低くなるでしょう。

弁護士に相談して代理人(あるいは弁護人)になってもらい、捜査の対象になる前(任意出頭すら求められていない段階)に警察に申告したところ、後日、無事、「おとがめなし」の連絡が警察から弁護士にありほっとした、というケースがあります。

「いつ呼び出されるのか?」「逮捕されたりしないか?」という不安から解放されたい場合には、上記のように、弁護士の助けを借りつつ、積極的に正直に申告しておくという方法もあるのです。

闇金にスマホの譲渡を上手く断るには?

電話で取り立てをする闇金と被害者

闇金業者に自分の個人情報や、関係先の連絡先を知られてしまっている場合には弁護士・司法書士などの法律家を介入させた方が無難です。

何故なら、闇金業者に対して「携帯電話・スマートフォンを送付することは出来ない」と正面から伝えると、あなたを屈服させようと「勤務先や親族などへ連絡する」などと脅迫してくる恐れがあるからです。

弁護士・司法書士が介入すると闇金が引いていく理由

闇金と交渉する弁護士

法律家が介入し受任通知を送ると、金融業者は顧客に対して連絡を取ってはならないと法律で決まっています。

つまり、法律家を通してのみやり取りが出来る様になるということです。

しかし、闇金業者のやっていることは違法で、被害者に対してハッタリや恐喝で無理にお金を支払わせています。

法律家(特に闇金対応に慣れている)にはこの様なハッタリや恐喝は通用しないため闇金業者としては引かざるを得なくなるわけです。

法律家が介入した時点で、闇金にはデメリットの方が大きくなる

闇金に強い弁護士が介入したその後
闇金に強い法律家を敵に回してしまうと、闇金業者は法律家の要請によって逮捕されてしまう可能性が高くなります。

法律家は闇金業者が交渉に応じない場合、商売道具でもある携帯電話や銀行口座を強制凍結させることもあるため、闇金業者としては厄介な法律家が関わった時点でその被害者から得られるメリットよりも、デメリットの方が圧倒的に多くなってしまうという訳です。

その様な事情もあって、法律家が介入した時点で闇金業者が何もせずに引いていくことも珍しくありません。

まとめ

  • 闇金業者にスマホを渡す行為は犯罪
  • 警察から呼び出されて逮捕される恐れがある
  • 闇金に携帯電話を渡した場合は弁護士へ相談のうえ自首することで逮捕を免れた事例がある
  • 闇金との関係を断つには弁護士などの法律家を介入させること
この記事の執筆者
闇金弁護士110番 編集部
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