闇金の取り立て被害者

闇金・・というと漫画やドラマの様に、家まで来て顧客を拉致してマグロ漁船に・・というイメージがあるのでは無いでしょうか?

実際の闇金業者の取り立ては、本人に直接会いにくることはほとんどありません。そして嫌がらせも遠隔で行われることが多くなっています。

ただし闇金の取り立ては勤務先や家族、その周辺にまで被害が広がってしまうため早期に対策をしなければなりません。

今回は闇金(ヤミ金)の取り立ての手口、実態について、現役で闇金対応を行っている法律家に取材を行ったうえでまとめています。

この記事が少しでも、闇金に悩む方のお役に立てると幸いです。

取材にご協力頂いた法律家

正野嘉人弁護士
正野嘉人弁護士
近年のLINEを使う闇金や、ソフト闇金などの対応を現役で行っており、闇金業者が家に来るのが当たり前だった頃から多くの闇金事件を解決している。闇金業者の取り立てが完全に止むまでの間や、その後のフォローまで行い、被害者の生活再建をサポートしている。
奥野正智司法書士
奥野正智司法書士
日本全国から闇金の相談や対応を受けており、20,000件を超える闇金解決実績を持つ。NHKの番組「クローズアップ現代『ねらわれる若者たち 追跡”SNSヤミ金”』で取材を受けるなど、闇金事件を専門業務として扱っている大阪の司法書士事務所の代表。

闇金業者の実態

質問者

近年の闇金の実態はどの様になっているのでしょうか?(暴力行為などは行われていますか?)

奥野司法書士奥野正智司法書士
ここ数年は、申込み・貸付・返済をインターネットや電話でやり取りし、遠隔で操作する手法がほとんどです。
闇金が姿を現すことはなく、被害者とも直接接触しない闇金が大部分を占めます。
「090金融」や「ソフト闇金」、「LINE闇金」と呼ばれるものであり、ドラマや映画でイメージする闇金とはかなり実態は異なってきています。
質問者

何故、被害者はヤミ金の言いなりになってしまうのでしょう?

正野弁護士正野嘉人弁護士

ヤミ金は被害者から聞き出した個人情報を人質に、被害者を生かさず殺さず一生お金を巻き上げるのが仕事です。

嘘と恐喝で自分らの要求を屈服させてきます。

勤務先や自宅、関係先に連絡、嫌がらせをされたくない故に、ヤミ金の言いなりにならざるを得ないのだと思います。

元々本人よりも勤務先や関係者、親族等を攻撃された方が、被害・ショックが大きいので、あらかじめそのために会社・関係者等の電話番号も聞き出すのです。

ほとんどの闇金業者は暴力行為を行わない

一昔前の闇金業者と言えば、店舗を構えて集客を行う闇金業者が一般的でした。

しかし、2019年時点での闇金業者は、店舗を持たずに携帯電話と銀行口座のみで営業している業者が9割以上を占めています。

今の闇金業者は逮捕を避けることを第一と考えていることもあって、直接家に来たり、暴力行為によって取り立てを行うことはほとんどありません。

電話やネットなど遠隔で取り立てを行い、精神的に追い詰める

闇金の取り立て

闇金業者が直接家に来ると言った危険は少ないものの、電話やネットを使った取り立てによって被害者を精神的に追い詰めます。

闇金業者は「勤務先や関係先に連絡をされたくない」と言った弱みを恐喝に使うために、貸付前に本人の勤務先や家族や友人の連絡先を聞き出しています。

家に来る可能性は低いが全く危険が無い訳ではない

闇金業者が家に来ることはほとんどありませんが、中には対面融資という形態を取っている業者が活動しています。

対面融資の業者は実際に会ってから金銭のやり取りをしていることもあり、家に来る可能性が高くなります。

対面融資の業者は、闇金業者の中でも極めて危険です。

闇金業者の取り立て手口

質問者

実際に闇金の取り立てはどの様に行われるのでしょうか?

奥野司法書士奥野正智司法書士

まず勤務先や自宅に取り立ての電話がかかってきます。
酷くなると勤務先の近隣店舗や自宅の近隣住民にまで被害が拡大することがあります。
また、頼んでもいない出前やタクシー、葬儀業者を次々と呼ばれたり、救急車・消防車を呼ばれたりします。

電話で罵声を浴びせ、脅迫する

闇金業者が行う取り立ては、主に電話にて行われます。近年はLINEを使う闇金業者が増えており、融資のやり取りはLINEで行い、取り立ては非通知の電話で行われるケースも増えています。

この際に、嘘や恐喝によって被害者を精神的に追い詰めることで、元利金を支払わせています。

会社に電話をかける

闇金による会社への嫌がらせ

本人に対して、取り立てや嫌がらせを行っても元利金が支払われなかったり、連絡が取れなくなると闇金業者は勤務先へと嫌がらせを行います。30分から1時間に渡って電話をかけ続けたり、FAXを数百枚送るなどして回線をパンクさせるなどの営業妨害を行います。

家族に嫌がらせを行う

家族に対して闇金から借金をしていることを伝えたり、取り立てを行う行為です。闇金から借りる際には家族に内緒にされている方も多いため、被害者が最も避けたいものの一つになります。

子どもの学校へ取り立てを行う

子どもが居ることを闇金業者に話していた場合、住所から校区が割り出され学校を特定されてしまいます。その結果、子供が通う学校へと嫌がらせが及ぶことがあります。

SNSで調べた友人に取り立てを行う

闇金業者はSNSを良く見ています。TwitterやFaceBookなどから被害者の友人関係を把握しており、本人と連絡が取れなくなったり、支払いが出来なくなると、このSNS上の友人まで嫌がらせを行うこともあります。

裸の写真を送らせて、脅迫に使う

貸付前に本人の裸の写真を送らせ、支払いが滞るとこの写真をばら撒くと脅迫する行為です。実際にばら撒かれてしまったり、職場にFAXで送付すると言ったケースもあります。

家の近所に顔写真付きの張り紙で嫌がらせを行う

免許証の写真などを送ることで、本人の写真が嫌がらせに悪用されるケースです。実際に家の周辺に行われる嫌がらせについては近くに住む、別の顧客に指示して実行に移すこともあります。嫌がらせに悪用されることになりますので闇金業者に自分の写真を送らない様に気を付けて下さい。

ピザなどデリバリーを大量に届ける嫌がらせ

ピザなどの出前を大量に届ける嫌がらせです。届いたピザはイタズラであることを伝えて引き取ってもらうことが出来ますが、精神的なプレッシャーになってしまいます。

救急車両を呼びつける嫌がらせ

救急車や消防車を呼びつける嫌がらせです。サイレンを鳴らしながら救急車両が自宅まで駆け付けることで精神的なプレッシャーとなってしまいます。

闇金に二度と連絡させない解決方法

闇金の解決方法

質問者
警察では闇金との縁を切ることは難しいのでしょうか?
奥野司法書士奥野正智司法書士

警察の生活安全課が相談窓口になりますが、「民事不介入」の原則もあり、正直、積極的に対応してもらえません。

闇金への警告連絡や携帯番号停止手続きをとってもらえる場合もありますが、被害が生じている箇所への個別対応や対策説明は期待できないのが現状です。
警察だけでなく、闇金対応を扱っている弁護士・司法書士事務所にも相談される方が早期解決に繋がります。

警察へ相談する

警察へ相談することで警察官から闇金に対して警告電話をかけて貰えることがあります。
相談先は生活安全課で、もし脅迫を受けているのであれば、証拠になるようなものを揃えておきましょう。

しかし、警告電話の後、嫌がらせが再発することが多かったり、そもそも動いて貰えなかったりということも多いので緊急の場合は注意が必要です。

弁護士へ相談する

闇金対応を専門業務として扱っている弁護士や司法書士に介入してもらうことで最短で即日解決する成果が見込めます。
弁護士が介入することで、闇金業者は被害者に直接取り立てを行うことが出来なくなるため、依頼した後は闇金業者とやり取りをする必要が無くなります。

費用は掛かってしまいますが、闇金業者も弁護士の介入した時点を「引き際」と決めていることも多く、弁護士や司法書士が介入しただけで何もせずに取り立てを止めることも多いです。

闇金と関わった方が知っておくべきこと

質問者

闇金から借金をしてしまった方が知っておくべき知識はありますか?

奥野司法書士奥野正智司法書士

闇金の貸付金は、不法原因給付(民法708条)となるので、借りた元金さえも返済する義務はありません。但し、返済しなければ報復行為として、嫌がらせを受けてしまいますので、正面から立ち向かおうとせずに専門の法律家へ相談するようにしてください。

正野弁護士正野嘉人弁護士

ヤミ金は被害者から一生お金を巻き上げるのが仕事になります。

完済金を払って関係が終わると思われているのなら、それは大きな間違いです。

その担当者との関係が終わったとしても、難癖付けて不当な金銭要求を受け続ける可能性が高くなります。

一生お金を巻き上げる方法は「一生利息を払わせ続けさせる」「恐喝してお金をむしり取る」主ににこの二点です。

闇金の借金は返済しなくても良い

まず、闇金業者の借金は返済義務がないものとされています。不法原因給付(ふほうげんいんきゅうふ)と言う法律を守っていない貸付であり、公序良俗に反するということから返済義務が認められない貸付となります。

借りてしまったという負い目があるかも知れませんが、真面目に返し続ける必要の無いものであることは覚えておいてください。

闇金は自己破産など債務整理が出来ない

自己破産を含む債務整理とは、法律を守ったうえで貸付けられた借金に対して、弁護士や司法書士が法律に基づいた手続きをして借金を減額したり、債務そのものをゼロにしてしまうというものです。

しかし、闇金業者の借金はそもそも法律を守っていない借金なので、法的に無効で債務整理を行うことが出来ません。例え自己破産をしたとしても闇金業者は取り立てを諦めないため、債務整理とは違った交渉のノウハウが必要になります。そのため、闇金から借りている場合には債務整理を受け付けていない法律事務所も少なく無いのです。

多くの闇金は完済させず関係を断つことは難しい

闇金業者は利息で利益を出しているので、被害者に完済させようとしません。「完済金を受け取らない」「完済金を支払ったにも関わらず完済を認めない」「無理やり次の融資名目でお金を口座に振り込む」などで、関係を断たせてはもらえません。

弁護士が介入することで即日で取り立ては止まることが多い

質問者

正野弁護士が介入した場合、全体の何割程度のヤミ金トラブルが即日解決していますか?

正野弁護士正野嘉人弁護士

弁護士介入と同時に解決したケースは7割前後です。

ヤミ金との関わり方は人それぞれ状況が違うのでケースバイケースですが、残りの3割近くも1~3日で解決に至っております。

和解になればその時点で取り立ては終わり、そのヤミ金から連絡が来ることは99%ありません。

闇金に強い弁護士が介入すると、警察が本格的に捜査を開始する恐れがあったり、商売道具であるスマホや口座を凍結させられたりといったデメリットが大きくなるため、闇金業者は取り立てをその日の内に止めることが多いです。

弁護士が会社にフォローしてくれることもある

勤務先に対して闇金業者から電話が入ってしまった場合、法律事務所から「〇〇さんは闇金から借りたのではなく、個人情報を悪用されてしまった被害者である」など、事情説明の電話をかけて貰えることがあります。

弁護士の費用は幾ら?お金が払えない時はどうすれば良い?

弁護士による闇金対応の費用は、闇金業者1社あたり5万円が相場です。しかし、闇金業者への支払いに困っている様な状態ですぐにお金を用意することは難しいという場合は次の様な方法を検討してみて下さい。

無料相談を利用する

弁護士に相談するには、通常30分5000円の費用がかかることが一般的です。そして弁護士の中には無料相談を面談、または電話で受け付けている事務所もあります。特に闇金対応を全国から受け付けている事務所では、無料の電話相談を受け付けている事が多いです。

分割払いや後払いに対応している弁護士を活用する

債務整理や闇金対応を受け付けている法律事務所には、分割払いを受け付けているところがあります。

闇金対応については、分割払いに加えて後払いを受け付けている事務所もあるため、担当の法律事務所へ事前に相談しておきましょう。

法テラスを利用する

法テラスを使うことで1回30分までの無料相談が計3回使えたり、費用を一旦立て替えてもらい、その費用を分割払いできたりと言ったメリットがあります。

しかし、「当日相談が出来ない」「『闇金に強い』という条件で弁護士を紹介していない」「弁護士の変更は3回まで」「費用を立て替えてもらうには審査に1週間程度かかる」などのデメリットもあるため、緊急の場合には注意が必要です。

弁護士の選び方

闇金解決の実績の多い弁護士を選ぶ

医者にも内科医や外科医といった役割が別れている様に、弁護士にもそれぞれ得意な仕事とそうでない仕事があります。

必ず、闇金解決の実績の豊富な弁護士や司法書士に依頼する様にしましょう。

着手までが早いこと

闇金問題は、一分一秒の遅れで被害が拡大するかも知れないという緊急問題です。

出来るだけ早く着手して、対応してもらえる弁護士を探しましょう。解決実績の多い事務所であれば、闇金問題の緊急性を十分わかっている可能性が高いので、迅速に動いて貰える可能性は高いです。

親身になってくれる弁護士を選ぶ

「闇金問題を家族に内緒で解決したい」「勤務先に嫌がらせが行われており、解決した後にどう説明して良いのか分からない」など、解決までの要望だったり、解決後の生活再建といった課題が、闇金被害者には残っています。

弁護士を選ぶときは、「相談してから解決するまで」「解決した後のアフターフォロー」と言ったところまで親身になって対応してもらえる所を選ぶ様にしましょう。

まとめ

闇金業者に取り立てをされている場合、一人で悩まずに弁護士や警察に相談する様にしましょう。

しかし、すぐにでも解決したいという場合には弁護士に間に入ってもらうことで、最短で当日中に取り立てを停止させることが出来ます。

闇金に対して支払い続けても完済を認めてもらえずにいつまでも元利金を請求され続けてしまいます。

もし、ご自身が闇金問題で悩んでいたり身近な方が闇金の被害に遭っていたら早めに専門家へ相談する様にしましょう。