闇金警察に相談

この記事では、闇金トラブルを警察に相談した場合の対応や、弁護士を立てて警察にできるだけ積極的に動いてもらう方針を紹介しています。

■この記事は弁護士の監修を受けています

久保木 亮介 弁護士

東京弁護士会所属中野すずらん法律事務所勤務

■この記事の取材に協力して頂いた専門家

正野嘉人弁護士

東京弁護士会所属。30年以上の闇金対策の実績を持ち、闇金だけではなくネット上の詐欺や、オレオレ詐欺の対策なども得意分野としている。

どんな場合に警察が動いてくれるのか?

一般に、警察が捜査に動くのは、事件性(法令により犯罪に該当すると疑われる事実があること)があり、および被疑者が特定されうる時に限られます。

違法な行為のすべてが犯罪として刑罰の対象になる訳ではありませんし、刑罰の対象になりうる(事件性がある)場合でも被疑者が誰だか分からず、分かる見込みも全くない場合は、警察はなかなか腰をあげません。

 闇金はほとんどが無登録であり、無登録営業の罪(貸金業法違反)、高金利の罪(出資法違反)、私生活の平穏を害する取り立ての罪(貸金業法)など、その存在と行為自体が犯罪といえます。

また、その行為の多くは恐喝、脅迫、詐欺、文書偽造など一般刑法の犯罪類型にも該当します。つまり、「事件性」は十分にあるのです。

多くの弁護士会は、闇金の被害者の代理人となった弁護士は捜査機関に対する刑事告訴・告発を積極的に行うように指針を出しています(久保木 弁護士の見解)

闇金被害に警察が動かない実情

 しかし、闇金は自分たちの存在と行為が犯罪にあたることを良く知っており、捜査機関の追及を免れるため、自身の情報は被害者にも見えにくくしています。勧誘・取り立てを携帯電話で行う「090金融」、他人名義の携帯電話や口座を利用する手口により、捜査は相当困難になっています。

警察に闇金被害を相談しても、被疑者が特定できない(特定が困難である)という理由であっさり門前払いされる場合がほとんどでしょう。

警察の闇金対応は「極めて不熱心」と言わざるを得ないのが現状です(久保木 弁護士の見解)

弁護士を立てて警察に本気度を伝える

そこで、まずは弁護士に相談することが現実的です。被害者本人の相談だけでは面倒がっていた警察も、弁護士から捜査怠慢を指摘されるのは嫌なものです。弁護士を立てることで、警察への「本気度」を示す必要があります。

 闇金対応になれた弁護士であれば、闇金がある程度特定できる(氏名、住所、FAX、電話番号等が分かる)場合は、警察に熱心に申し入れをしてくれるはずですので、闇金に関する情報はすべて相談に乗ってくれた弁護士に伝えるようにしましょう。
それでも警察が本格的な捜査に乗り出してくれるとは限りませんが、闇金業者に連絡し警告(口頭での事情聴取)をしてくれることはあるでしょう。

少しでも警察が動いたという事実は闇金にとって深刻ですので、少なくともその被害者への違法な取り立ては止むはずです(久保木 弁護士の見解)

警察の相談窓口について

警察に闇金相談をする場合、闇金が家まで来たという緊急事態の場合は110番通報を、
緊急でない場合は#9110に電話をかけることで相談に乗ってもらえます。

地域にもよりますが、具体的な相談は#9110から管轄の警察署の生活安全課を案内され、話を聞いてもらうことになります。

正野弁護士への取材内容

質問者

警察に闇金相談をすることで、警察が闇金を摘発、逮捕とはならないのでしょうか?

正野弁護士正野嘉人弁護士
本来、警察が闇金業者の捜査を行い逮捕となれば良いのですが、

多くの闇金業者は使用している携帯電話や返金先口座が他人名義で、居場所や本名が分からないことから警察もお手上げ状態であり、速やかな捜査、逮捕は期待できません。

被害届けさえ受理してもらえないケースが多いのが現状です。

質問者

何故、闇金業者は逮捕されないのでしょうか?

正野弁護士正野嘉人弁護士

逮捕されないでは無く逮捕されにくいという表現が合っていると思います。

何故逮捕されにくいかは「闇金の居場所が判別し辛い」「物的証拠が乏しく立件し辛い」などの理由だと思われます。

しかし、警察の本音としてはお金を借りる時だけ闇金を利用し、闇金と手を切る時に警察に尻拭いをさせる事に一生懸命捜査をしないと考えられます。

闇金に口座やスマホを渡した場合、警察は逮捕するのか?

警察から怪しまれる
闇金に言われるまま、スマホや口座を業者へと渡してしまうと、携帯会社や銀行への詐欺行為に該当します。

警察から取り調べを受けてしまう可能性があり、実際に逮捕者も出ていますので、スマホや銀行口座を闇金に渡してしまわない様にお気をつけください。

なお、こちらの記事でも解説していますが、闇金業者にスマホや口座を渡してしまった場合には弁護士への相談のうえ、捜査機関に正直に申告するというのが一つの対応方針になります。

被害の拡大防止に協力をすることで、「逃亡の恐れなし」と判断され捜査機関も逮捕はしないことが想定されます。

この記事の執筆者
闇金弁護士110番 編集部
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