事件の概要

はじまりは3万円の借金

八尾市ヤミ金心中事件とは、2003年に八尾市で起きた凄惨な一家心中のことです。
はじまりは八尾市に住む一人の主婦が3万円の借金をした事でした。主婦は当時69歳です。その夫である61歳の男性は清掃作業員をしていました。
ここでまず不幸を引き起こすきっかけとなったのが、この主婦が過去に自己破産をしてしまっていた事です。一度自己破産をしてしまうと以降に金融機関から金銭の貸し付けを受ける事は難しくなります。結果としてお金に困った主婦が行き着いたのが融資条件の甘い業者であり、主婦に3万円と言う約束で貸し付けを行い借金地獄へと突き落とした業者こそ、この事件の加害者となる闇金だったのです。

巻き込まれた家族と知人

八尾市ヤミ金心中事件で、主婦は融資を受けるために自身の兄である当時81歳の男性を保証人としました。しかしその行為もまたこの事件をより悲劇的なものにする一つのきっかけとなってしまいます。
融資として金銭の振り込みを受けてから、主婦の元には度重なる取り立て電話がかかってくるようになりました。その電話は通常の融資会社が行うような返済請求ではなく、脅迫的な言動が目立ち恐怖心を植え付けるやり口です。
こういった連日しつこく行われる取り立て電話もさることながら、さらに悪質性が顕著である事を示すのは法定利率を無視した利息設定です。
主婦は1週間ごとに1万5千円の利子を支払うよう要求される事となりました。そして顧客本人への執拗な取り立て電話が繰り返されている場合、その保証人となった家族も被害を受ける事は少なくありません。この事件の場合は主婦の兄である男性が二次被害を受ける事となりました。日々悪質な取り立てを受け続ける主婦とその夫については、近隣に住む人達にまで闇金からの電話が入るようになります。
法外な利息の要求に加えて大きな精神的プレッシャーをかけ続けられた主婦とその夫、そして主婦の兄は、闇金から追い詰められた結果に電車へと身を投げる選択をしてしまったのです。

返済金額と闇金の巧妙な手口

主婦への融資契約を行った際、闇金業者は3万円の貸し付けを約束しました。しかし実際に主婦の口座へ振り込まれた金額は1万5千円にとどまります。
しかしそれでも主婦は闇金へ15万円以上を返済しました。借りた金に対する返した金の比率を見ただけでも違法な金利設定がされていると分かりますが、闇金はそれ以降も毎週1万5千円の利息を要求し続けます。
金銭負担を見ただけでも計り知れない苦悩があったはずです。そこに追い打ちをかけるかのように闇金業者は主婦を取り立て電話で責め続け、保証人となった兄にも同様の取り立てを行っていました。
ただでさえ精神的に追い詰められていた主婦ですが、近隣住民やパート先にまで取り立て電話が入るようになり、逃げきれないと思い悩んでしまった事により夫と兄と共に自殺するしかなかったのです。

取締りの強化

警察の不介入
闇金からの取り立てが激化した時、主婦は警察に対して被害の相談を行いました。ところが当時は現在以上に警察の民事不介入と言う意識が強く、闇金事件については借りた本人が悪いという認識が定着してしまっていました。
結果的に主婦の相談は警察で請け合ってもらえず、違法な闇金業者への対応も一切取られる事がありませんでした。

事件を受けての対応

2003年の闇金事件が端緒となり闇金対策のための法律が強化されました。それと同時に当時の反省を受け、警察でも闇金事件に対する認識を改めるきっかけとなります。
この事件以降、闇金から金を借りる方が悪いといったような自己責任の概念は徐々に修正されていきます。闇金逮捕へと繋がるために積極的な対応を徐々に見せ始めたのです。
また闇金事件に関しては、警察の民事不介入という立場を見直すようにもなっていきます。被害を受理するなどの対応も場合によっては取られる事があり、闇金に対する取り締まり強化という方針を推し進めていくようになりました。

2018年現在への影響

090金融の横行

取り締まりが強化されたことで、それまで主流だった店舗型闇金はほぼ絶滅しました。しかしそれと入れ替わりに台頭してきたのは090金融です。
090金融はそれまでの営業形態とは正反対の組織であり、基本的に店舗を構えて顧客と対面する事がありません。本拠地や身元を隠して活動する事により警察の目から逃れ、トバシ口座やトバシ携帯を使用する事によって摘発されないようにしています。

090金融の悪質な手口

090金融は警察の目の届かない所で秘かに活動しています。そのため顧客の家を実際に訪れて暴力を働くことは基本的にありません。ところがその反面に、嫌がらせは顧客の生存手段を奪う悪質なものとなっています。
090金融が利用する取り立てのツールは電話です。この電話一本で融資から取り立てまでの全てを行います。
脅迫的な電話は本人への脅しに留まらず、放置しておけば家族や会社、さらには近隣住民にまで被害が及びます。SNSが盛んである現代ではネット上でも誹謗中傷を繰り広げられる事があり、本人の社会的立場や地位を著しく傷つけ損ねてしまいます。
暴力のように目に見えた被害がない分警察も動きにくく、さらに使用ツールが他人名義の携帯とあっては本拠地を探るにも時間がかかります。たとえ本拠地が分かったとしても管轄が異なれば対応も簡単にはいかず、時代によってやり口を変えた闇金の方が警察の取り締まりを上回ってしまっている状況が依然として続いています。